生物資源という学類

つい先日、学類の先輩と「生物資源という学類」について真面目な議論をしたので、それの整理として書いていきます。

先輩の主張は「高校レベルの学力(この時は数学を指していた)を農学部の人に求めるのは酷だ

「生物資源の卒研発表が酷い。生物学類のはすごかった」

というものでした。

その主張に対する、自分なりの答えを述べていきます。



生物資源学類は、いわゆる農学部です。

農学部は文理融合の学部と言われており、実際に高校時代は文系だった、専門高校だった、普通科理系だったと様々な人が入ってきます。

殆どの人は高校時代生物I・IIを履修しており、物理I・IIを履修していた人は少数派で、さらに数学は数III・Cまで履修していた人は割と少ないです。

そういう事情を鑑みて、上の「高校レベルの学力を農学部の人に求めるのは酷だ」ということになったのです。



まず最初に生物資源学類の教育の現状を見ていき、次に他の学類と比較していきたいと思います。

生物資源学類は一貫して「下を引き上げる」教育姿勢です。

一年次の理系科目は数学、物理、化学、生物です。

数学は高校の復習から大学の数学へ、物理は高校物理、化学は高校化学(一部大学化学:熱力学)、生物は高校生物+大学生物でした。

上に挙げた科目は、高校時代に物理・数学・化学未履修者だった人でもスムーズに大学の学問に移行できるようにと、高校の復習から丁寧に入ります。(なぜか生物学だけは大学生物から始まりましたが…)

筆者は高校時代は数学はIII・Cまで、物理・化学は共にI・IIを履修していたので、一年次は正直物足りない授業が多かったです。(数学は自分の基礎学力の無さを強く実感したので、一からやり直しました)

一方高校時代に生物を得意とし、数学は苦手だったという学生にとって、一年次の物理・数学の授業はかなりキツイものだったようです。

自分の周りでも続々と脱落していき、二学期(大学数学にはいる)には一部の学生が残ったのみでした。


一方、生物資源学類と(名前が)よく似た学類として生物学類というのがあります。

生物学類の友達が何人かいるので彼らからよく講義の話を聞くのですが、彼らの話から「上に合わせる」教育方針だという印象を受けました。

なぜ生物学類は上に合わせて下を(生物資源ほど)救わないのでしょうか。

それは入試科目(特に前期)の違いにあると思います。

生物資源学類は色んな人材を求めるために、入試の科目も結構変わっています。

数学を必修としていない、地理だけで入れるなどなど…

対して生物学類は数学(IA、IIB)・理科を必須としております。

恐らく「数学」を必須科目としているところに、生物学類の意図があると考えられます。

・生物学類
数学を必須科目としている→高校レベルの数学はもうクリアしているので、大学では大学の数学をやる

・生物資源学類
数学を必須科目としていない→高校レベルの数学に達していない学生もいるので、まずは高校レベルに到達するような教育をする


ただ上のような論法でいくなら、生物学類は数III・Cまで必須にするか、大学で数III・Cの補助をすべきだと思うのですが…
実際に生物学類の一年次の数学の講義(微積分)に潜ってみたのですが、数III・C未履修者に配慮されていたとは思えませんでした。


こういう背景から、生物資源学類は一年次は徹底的に基礎教育を、生物学類では一年次から結構専門的な内容に取り組んでいるのだと考えます。

ここで一年間の教育の遅れが生じているのが、最初の「生物資源の卒研発表が酷い。生物学類のはすごかった」という主張に対する答えではないでしょうか。

専攻に別れるのは生物学類は2年で、一方生物資源学類は3年です。

生物学類の2年次の講義に潜ってみましたが、やはり彼らの方が専門的な内容に取り組んでいました。

専門的な内容だけ合って、科学的思考を要する場面も多々ありました。

一方生物資源の2年次の講義は、またまた高校時代の復習を何度も取り入れ、基礎的なものが多い印象を受けました。


恐らく生物資源も3年になればもう少し専門的な内容に取り組めるのでしょうが、生物学類にはやはり一年分の遅れが生じています。

ここで断っておきますが、「内容が進んでいる、遅れている」ことが悪いとは私は考えません。

これで生物学類のように2年次から専門的な内容に取り組んだ場合、基礎学力がない資源生の学力は付け焼き刃の物になってしまい、ズタボロになるでしょう。

もしも2年次から専門的な内容に取り組むとしたら、入試制度から変えなければならないでしょう。

ただ折角生物資源学類は多種多様な人材がいるのに、学力のフルイにかけてしまったら勿体無いです。



以上を踏まえて、「生物学類のものと比べて、生物資源の卒研発表は酷い」というのは多少は仕方ないと私は考えます。

ただだからと言って、クオリティーが低い卒研でいいとは言いません。
より良いものになるような努力は絶やしてはいけません。

主張したいのは、「科学的思考の訓練を一年間遅れてしまっている人たちと、一年早く進んでいる人たちをおな土俵に立たせるのはちょっと違うのでは?」ということです。




さて、今度はもう1つの主張「高校レベルの学力(この時は数学を指していた)を農学部の人に求めるのは酷だ」にフォーカスを当てていきます。

この時の会話を一部再現してみます。

先輩「自分君がいう高校レベルの数学は求めすぎだ。生物資源は高校時代数学をやっていない人もいるし、大学はそもそも深く1つの学問を追求する場でもある」

自分「高校時代、数学をしっかりやらなかった(やれなかった)人がいるのは承知しています。そのために一年次の数学は高校数学から入るのです。」

先輩「うーん、なんか引っかかるな…」

自分「logの性質を知らない、logの定義を知らない大学生をどう思いますか。」

先輩「だからそれが求めすぎだというんだよ。皆が自分君みたいな価値観なわけではないんだし…」

自分「では四則演算が出来れば十分なのでしょうか」

先輩「それは極論でしょ。」

自分「それでは四則演算(小学校レベル)とlogの定義(高校レベル)の間に、大学生が持っておくべき数学力があるのでしょうか。」


…とこんな感じでした。
論理展開がめちゃくちゃだ!というツッコミがありましたら、どんどんください。


私は大学数学の楽しさ、その強力さを皆に体感してもらいたいと常日頃思っております。

しかしながら皆が皆大学数学をやるべきだ!という主張はしていませんし(そういう風に今まで発言していたと捉えられていたら自分の国語力不足です…)、そこまでは望んでいません。

ですが大学の、国立大学のスタンス及び入学させた責任として、高校教育までは会得させるべきではないでしょうか。

無理に教えこむのではなく、大学は高校レベルの学力を得られる場を提供し、学生はそれを利用する権利があるのではないでしょうか。

生物資源学類では数学、物理は必修ではありません。

ですからこれらを履修せずに(高校レベルの数学、物理を習得せずに)進級することも可能です。

高校レベルの数学、物理を習得するかどうかを選ぶのは、学生の自由だとも考えます。

もう自分で選んで勉強していける年ですし、自分の選択にも責任を持てる年でもあります。


以上をまとめますと、私の主張は「大学は、様々な入試で合格した学生たちに対し、入学させた責任として高校レベルの学力をつける場を提供すべきだ。ただしそれを強要する必要はない。そして私の考え・立場は、大学(特に生物資源)の教育方針と一致している」

ということです。

(本当は高校で基礎学力が習得できていればいいのですが、いかんせん今の日本の教育では期待できないので、その分大学がカバーするしかないのです)

長くなりましたが、ひとまずこのあたりで…。

ばーっと書いていったので、文章が酷いかも知れません。

余裕があれば後に訂正いたします。


何かコメントがあれば、コメント欄でどうぞ。
(批判的なものでもウェルカムです)

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